空にとけるまで(Artist Statement)
暮らしの中に線を引いて、家具を考える。
建築とも茶碗とも異なる、等身大の宇宙。
イメージした沢山の短い線をつなげて、一つの絵を描く。
木と向きあい、削っては触って眺めて、削っては触って眺める。
さまよっていると、トンネルの出口のような、
ぽっかりとあいた空白に遭遇する。
空白をつかんだ線は、それをそっと包むように形を造りあげていく。
流れはじめた線は、先端で結ばれた。
生活に溶けていく形と、沈黙に浮かび上がる確かな形。
その消えたり現れたりすることの間には、何があるのだろう。
計り知れない木の軌跡を、そのまま透明にあらわした時、
家具は、光としずかに戯れている。
そういうものを私はつくりたい。
小澤一也
2010年9月
初個展 ”空にとけるまで” 展に寄せて