第3物(Artist Statement)


私は藤枝市の山間部に住んでおりますが、
コロナ禍になって川に遊びにきたり自然の中に来る人が増えました。
それは極めて単純に自然に気持ちが緩和されるからだと思います。
この透過するような回復の感覚は、コロナが終わっても21世紀を生きる
私たちにとって、重要なものになると思います。

ぼくの制作する物はこのことに近いと感じています。
それは小さい頃から惹かれ続けている仏像のようです。
設置された変電設備、オーディオ、大杉、電柱、青い水門、オリオン座、
びく石、お守り、そして私の住む部落で採取された丸い玉取石。
人と人との間、この世界の平面上に依存の対象をつくる。
何かに頼り去りたい。通過的な拠り所。連なるお地蔵さんのようです。

街から森へ、森から街へ通過していく。
アスファルトから分離した鳥が飛ぶ 電波が流れている。
最適化という機能の最大の恵みと狂気
川は日々変形していて、今日もまたここに石が留まった。
土も水もイメージも流れている。


小澤一也



2023年2月
藤枝市主催の美術イベント、”びじゅつじょろん5/山のりんじ美術室f” 展に寄せて

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